福岡高等裁判所宮崎支部 昭和26年(う)424号 判決
所論に鑑み、訴訟記録を調べてみれば、被告人宮崎県水産業会は昭和二四年一〇月一五日解散し、昭和二五年八月一七日清算を結了し、その清算結了の登記は同月二四日になされたことが明らかである。しかして、被告人宮崎県水産業会の登記簿抄本(記録第二一九丁)の記載に徴すれば、被告人宮崎県水産業会が解散した事由は、まことに所論のとおり、昭和二三年一二月一五日法律第二四二号水産業協同組合法の制定に従い、同日法律第二四三号水産業協同組合法の制定に件う水産業団体の整理等に関する法律第一条第三号に基き、法律上当然に解散を要請せられた結果であることが十分肯認されるところである。それで、被告人宮崎県水産業会が前示解散に基き清算を結了し、その登記を完了した以上、前掲法律等に解散、清算乃至清算結了の登記等に関し、これを排除すべき特段の規定が設けられている形跡を発見できない限り、よしんば、被告人宮崎県水産業会がその解散以前本件刑事訴追を受け、その審理中であるとの一事をもつて、直ちに、被告人宮崎県水産業会の前掲清算は実質的に結了せず、被告人宮崎県水産業会は、なお、存続しているものと断ずることは早計であるといわざるを得ない。果して然りとすれば、被告人宮崎県水産業会の解散、清算乃至清算結了登記等に関し、前掲法律には勿論、他にこれを排除すべき特別の法律の規定のあることは発見できないから、被告人宮崎県水産業会は前掲昭和二五年八月二四日清算結了と同時に実質的に当事者能力消滅し、被告人たる法人は存続しなくなつたものとみるのが相当である。さすれば、原審としては、所論のとおり、刑事訴訟法第三三九条第一項第三号後段により、決定をもつて本件公訴を棄却すべき筋合のものであつたといわざるを得ない(当裁判所昭和二四年(つ)第五四〇号、昭和二六年五月一一日決定参照)。それで、原判決が、被告人宮崎県水産業会に対する本件公訴を棄却することなく、所論のとおり有罪の言い渡しをしたのは、結局法律の解釈を誤解したため、法令の適用を誤つたことになり、しかも、その誤は、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は到底破棄を免れ得ない。